top of page

​上陸・産卵数の状況

1993年に調査を開始して以来、石垣島で上陸・産卵をするウミガメの痕跡を調べてきました。研究会結成当初は平久保半島が中心でしたが、2000年頃より調査メンバーが増え、石垣島の全域を対象としています。石垣島ではアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種が産卵上陸しますが、現在、そのほとんどはアオウミガメで占められています。石垣島ウミガメ研究会ではこれまでの成果を、2018年2月に神戸で開催された「第38回ウミガメの生物学と保全に関する国際シンポジウム」において発表しました。また、2020年には国際学術誌「Chelonian Conservation and Biology」で発表しました(参考文献1)。

石垣島のアカウミガメは2008年をピークに年々減少しており、近年はわずかに見られるのみである。一方、アオウミガメはモニタリングを開始して以来、数年周期で増減を繰り返しながら徐々に増加傾向を示し、2022年には過去最高の上陸・産卵数となった。タイマイは、数は少ないが、一定数の産卵上陸は毎年見られる。

石垣島全体の産卵の現状(2000年から2022年末まで)
All_ishigakij2022.png

石垣島の主要な産卵場におけるウミガメ3種の産卵回数の動向(2000年~2021年)

石垣島某所の産卵の現状(1993年から2021年末まで)

石垣島ウミガメ研究会が活動を開始した1993年以降の記録が残る某所では、今と比べてアオウミガメの産卵上陸は少なく、またアカウミガメの産卵上陸も一定数見られ、アカウミガメとアオウミガメの産卵数の差はそれほどありませんでした。亀崎(1991、参考文献2)による1983年~1988年の石垣島の調査では、アカウミガメの方がアオウミガメより産卵数が多かったことを報告しています。このことを踏まえると、石垣島では1980年代の後半~1990年代の前半において、産卵をする優占種の遷移が起こったことになります。

All_Ibaruma2021.png

石垣島某所におけるウミガメ3種の産卵回数の動向

(1993年~2021年)

参考文献

  1. Okuyama J., Ishii H., Tanizaki S., Suzuki T., Abe O., Nishizawa H., Yano A., Tsujimura M., Ishigaki T., Ishigaki T., Kobayashi M., Yanagida H.  Quarter-Century (1993–2018) Nesting Trends in the Peripheral Populations of Three Sea Turtle Species at Ishigakijima Island, Japan. Chelonian Conservation and Biology 19(1) 101-110. 2020

  2. 亀崎直樹. 琉球列島におけるウミガメ類の産卵場の分布とその評価(予報).沖縄生物学会誌. 29号29-35頁. 1991年.

 

※当研究会の許可なく、産卵に関する情報を無断で転載・複製することを禁じます。

bottom of page